田村 文利(ジャズピアニスト)


私が田村さんに出会ったのは、作曲の勉強をしたくてレッスンに通うことになったのがきっかけです。田村さんの知識の豊富さと人柄の良さで、柔軟にたくさんの事を教えてくださり、とても楽しいレッスンでした。

その後、レッスンは辞める事になったのですが、どうしても田村さんと一緒に演奏がしたく連絡の取り方を探したのです。しかしSNSなど何もしていなかった田村さんと連絡を取るのはなかなか難しかったのです(笑)

田村さんは、毎日のように演奏活動を行っていたので直接会いに行きオファーさせて頂きました。演奏は快く引き受けて頂き、それ以来いつも一緒にライブさせていただく事になりました。

 

「こんなイメージで演奏したい」と言うと素早くさっとイメージ通りのアレンジしてくれます。そしてジャズの楽しさ、音楽の楽しさをいつも教えてくれます。プロのミュージシャンとして活躍されていても、30年間毎日研究し続ける姿は、マニアックさ、謙虚さ、面白さを感じる田村さんを作られていってるんだなぁと思うのです。

田村さんの素晴らしい演奏、面白さを是非たくさんの人に知って頂きたく、インタビューをお願いしました。もちろん快く受けてくださいました。

田村さんが書かれているブログ「田村文利新聞」、演奏の映像とともにインタビュー記事をお楽しみください♫



まずはaikoのカブトムシをジャズアレンジで演奏されている映像です♫



Q.ジャズピアニストになられたきっかけは何ですか?

高校を出た後に英語の勉強が好きになり、元々アメリカ文学やスタンダードの歌詞に興味を持っていたのもあって、英語の勉強の為に留学する事になりましたが、何故か音楽学校に入ってしまい、そこでジャズの演奏、アレンジ、歴史やその哲学的要素に惹かれ、ジャズミュージシャンになりたいと強く思いました。



Q.あなたの経歴を教えてください。

幼少の頃からヤマハ、エレクトーンを習い始めました。全然練習もしないし、才能は感じさせない人間でした。なので将来音楽をやる事になるとは全く思っていませんでしたが、”自分は将来芸術家になる”ということは12-3歳の頃に固く決めていました。中学、高校では一切学校の勉強をしない事にしたので、落ちこぼれ、かつ登校拒否児となりました。その間、ひたすら本を読むのと洋楽を聴く事だけを続け、大阪の英語の専門学校を経てボストンのBerklee College of Musicに入学。そこからピアノを始めたので、ずっと下手くそでしたが、いい教育を受けられたのと周りの数々の芸術家に触れ、ジャズについて全てが知りたいと思いました。以来、30年間毎日研究を続けています。バークリーではアレンジ、作曲科を優秀な成績で卒業しましたが、ピアノの方も諦めずに頑張りました。

 

20年前に帰国後、3日目からプロとしての演奏をスタートすると同時に、ジャズスクールや専門学校でピアノを教えるようになりながらも、研究を続けた結果、各地でジャズ講義をする事も多くなりました。

ジャズという芸術の中にある素晴らしい宝物の数々を人々に伝えるべく、使命を帯びて日々喋っております。

 

未だに自分の演奏に関してはあまり自信は持てないですが、レッスンに関しては、学生時代から天職だと思ってやっています。プロのミュージシャン、ピアノ他の講師から、はたまた全くのど素人のおじさまにまで、熱心に続けています。



Q.今までで一番、影響を受けた人は誰ですか?どのように影響を受けましたか?

数あげてしまいます。

ボストンに行く前に、本やレコードやテレビ、映画以外で、僕の身の回りにいた人で、唯一芸術的な何かを与えてくれた人。僕が15歳くらいから21歳まで習ったエレクトーンの先生、伊藤ケイ子先生だけでした。

アメリカに行ってからは、学校の友達で、かつピアノのレッスンをしてもらったイスラエル人のIttai Rosemberg、クラシックピアノの先生Ed Bednerです。

 

直接会ってない人だと、影響を受けた作家、俳優、詩人、落語家、お笑い芸人さん、ミュージシャン、ソングライター、アレンジャーは数えきれないくらい沢山います。



Q.田村さんの思うジャズの魅力は何ですか?

この音楽は、ジャズをやる人間であれば、全く言葉も通じない人同士が、初めて出会っても、何の打ち合わせもなく一緒に演奏できる稀有な音楽スタイルだと思います。しかもそこで一大傑作が生まれ得る音楽であります。そこにおいては各プレイヤーの性別、年齢、人種はたまた社会的地位や年収も関係なく、共演できます。

彼らはその場の即興演奏に全身を持って臨みますが、その奥には、それまでの彼らの音楽的鍛錬や勉強した事、経験があり、更には人生における経験やイデオロギーがそこには現れます。はたまた彼らの半生がその一瞬の即興演奏の中には、みられるのであります。



Q.ジャズのライブでは、リアルタイムで音楽を創り出していると思いますが、その時にこだわっていること、心掛けていることは何ですか

日々の練習や勉強も大事ですが、それ以上にその場で、一緒に演奏するメンバーの音を互いに聞きながら反応して、会話していくところです。

Q.今までで一番思い出に残っているライブは、いつのライブですか?そしてなぜ思い出に残っていますか?

これまたレコード、CDの中だと沢山あってしまいますが、生で見たライブで影響を受けたものを、これまた複数あげてしまいます。すいません。

全部学生時代に観た演奏です。

・ピアニストGene Harrisのバンドがボストンのクラブで演奏した'92-3年のライブ。ジャズ演奏家としての表現力を感じました。

 

・ヴォーカリストJimmy Scottの93年頃のニューヨークでの復活ライブ。ただ純粋に心に深く感銘を受けました。

 

・バークリー学内のリサイタルで聴いた黒人学生のMelvin Butler(ts)とAnthony Wonsey(p)の演奏。当時、ジャズについての勉強、研究に夢中になっていたものの、全くアドリブ他、ジャズらしい演奏ができていなかった僕でしたが、彼らのライブを聴いたときに心底、ジャズの演奏は楽しいんだなぁ。自分でもできるようになりたいなぁ。と思いました。



Q.ジャズをあまり知らない人達に、ジャズの楽しみ方を少し教えてください。

ジャズという音楽は、シンプルにその時演奏されている曲のメロディの美しさや、その楽器の音色の美しさを味わうだけでも価値があります。理論や各楽器の奏法が分かればより深く味わえます。またプレイヤーやアレンジャー、さらにはジャズクラブやレコード会社などについての知識が増せばなお面白くなります。

 

一方、ジャズというのは、とても精神性の強い芸術形態でもあるので、ジャズに関わる人々の哲学を感じることも、また有意義なことであります。

そもそもジャズができた時点で、本来酷い人種差別の中から生まれた音楽でもあるので、深い悲しみや人間の感情を表現するという意味で、弱者や感受性が強く傷つきやすい人々にアピールするものが備わっているものであると言えます。

知的にも肉体的にも、ありとあらゆる角度から問いを求めたとしても、それぞれに非常に深い答えを見せてくれるという意味でも、他に例を見ない芸術形態であると思います。

 

しかしなおジャズが素晴らしいと僕が思うのは、それらを全て取っ払ったとしても、ただ単純におっさんが「ウイスキー飲む時にかけると雰囲気いいから〜」だけでも充分に楽しめるというところです。



Q.これから挑戦したいことはありますか?

このコロナ禍における世の中、はたまた僕一人の人間の持つ時間と体力が限られている中、僕の知り得たジャズの中にある芸術的”美”を人に伝えるためには、今までのような対面によるレッスン、講義では限界があります。リモートのノウハウを学んで、より多くの人に伝えていきたいと思っています。

Q.これから自分自身に期待することは何ですか?

ジャズの勉強を始めた時から変わらず、ジャズに関する全てのことが知りたいと思った30年前から、今でもやっぱり、”より知りたい、より良いミュージシャンになりたい、より素晴らしい芸術家になりたい”と思い続けています。

Q.あなたにとってジャズピアニストとは?

僕にとっては、この世の中で一番難しい職業で、30年続けても、なかなか理想に近づくことができない仕事です。これからも満足する事が出来ないかもしれませんが、でもやっぱり生涯ジャズピアニストとして生きていきたいと思っています。



最後に田村さんの最新ライブ動画です♪

田村さんのジャズの豊富な知識もMCで話されていて、より演奏が楽しめるライブ映像です!今までジャズに触れた事がない方も是非お聞きください♫

2020年9月30日



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