田畑 真代(ニット作家)


ひょんなきっかけで田畑さんと出会い、彼女の作り出すニット作品を見せていただき、私は一瞬のうちに心奪われ笑顔があふれました。

たくさんのキノコが生えている立体的なマフラーには、妖精が隠されています。タコさんマフラーには時々イカさんが混じっています。作品には常に遊び心が隠れています。

 

見て楽しい作品というだけではなく、実際に付けてみると服にピッタリとマッチしてくる。笑える作品がオシャレなアイテムに変わる、とても不思議な魅力のある作品ばかりです。

「何も難しいことはしてないのよ。でもどんなに作り方を教えても決して同じものは生まれない。」とおっしゃる彼女の作品は全てが一点もの。

どのようにアイデアが浮かび、作品が出来上がっていくのでしょうか・・・



Q.ニット作家になられたきっかけは何ですか?

A.ニットデザイナーにはなれないなと思ったことです。

私の中でデザイナーは、年々の流行を考え、春夏物、秋冬物と作品を発表していく、しかも毎年発表する。それががニットデザイナー。実力、金銭力、スポンサー、運が揃わないと慣れないと思っています。

 

ニット作家は、そういうシバリがなく、けっこう自由に、万人向けというより自分のやりたいように作って発表するイメージがあります。

なので作家ならできる?と思った次第です。

 



Q.あなたの経歴を教えてください。

A.1960年、石川県金沢市出身

 

2000年、ヴォーグ手あみ師範の資格取得を機にデザイナー、作家活動スタート。(株)ハマナカにてニットウェアのデザイン、制作をスタート

2010年、(株)ハマナカ引退、本格的に作家活動スタート。同時に(株)クロバーにてデザイン、作品製作スタート。今に至る

 

 

左のイラストは、糸極道真代。糸の為なら極道にもなる。

棟方志功の「板極道」から名付けました。イラストの上手な親友まりべさんが製作。



Q.今まで一番影響を受けた人は誰ですか?

A.恩師である2人の先生。

1人は熊本の先生で、まだ製図とか割出しに不慣れな私に優しく教えてくださいました。ニットって目と目の間に空気を含んで温かくなります。

先生は、ホワッホワッと温かな空気で、その場を和ませるニットそのもののような先生です。

 

もう1人の先生には、ニットの深さや厳しさを教えていただきました。

先生には「デザインは引き算よ。あってもなくてもいいものはつけない!!」と、よく言われました。当時は「何故?」と思っていたのに、今ではとてもよくわかります。厳しさこそが先生の温かさだったと思います。

 

またソニア・リキエル(ファッションデザイナー)やミッソーニ(ファッションデザイナー)、ジャンポール・ゴルチェ(ファッションデザイナー)など・・・



Q.今までで一番、思い出のある作品は何ですか?なぜですか?

A.ニットのプロになる!と決心した「フラクタル」という作品です。この作品は、私がニットをお仕事にしたいと思ったきっかけの作品です。24年前に作ったショー用のワンピースです。テーマは「森」。

数学のフラクタル図形をモチーフに熱帯雨林に蠢く動植物を表現しました。素材は、ほぼウール。

中細〜並太の糸をたぶん200玉程度使用、ほとんど3/0号、5/0号のかぎ針で長編を中心にモチーフつなぎで仕上げました。

1本の糸が自分の手でどうにでもなる。

何か人と違うモノを作りたいと思ったことを思い出します。

 



Q.作品作りでこだわっていること、心がけていることは何ですか?

A.テーマは常に「使って笑える楽しい」ニットです。

何年か前、作品展をした時、とてもかわいい癒し系のイラストを描かれる作家さんに、「ニットで人を笑顔にするなんて素敵ですね。しかも使えて」と言われたことがあります。

また別の時に「楽しいでしょう。こんなの作ってると。楽しく作ってはるのが伝わってくる。」と言われたことがあります。

作品展でいただくこれらの言葉は私の一生の宝物です。

私は、なんだか楽しい気持ちが高揚するワクワク、ウキウキなモノを作りたいと思っています。

そして、私の作品を通して会話が弾むような、そんなアイテムになれば嬉しいと思います。

 

使って笑えて楽しい。3つそろうのって、結構難しいんです。

 



Q.作品はどのように生まれますか?作品が作られていく過程を教えてください。

A.何かを見たら、常に「これニットでできるかな?」と思っています。

例えば「ワニを編みたい!」→「ワニって長いし、ワニマフラー(ストール)やな!?」→「色はとりあえずグリーンベース、編み地どうする?」→「リアルでいきたい!」ってな感じです。

あとはストールとして大人が使えて楽しいモノ。

さらに「手あみ」であってもアカ抜けしていることを考え、作品に仕上げていきます。



Q.これから挑戦したいことはありますか?

A.伊藤若冲が大好きです。彼の『鳥獣花木図屏風』をニットでやりたい!

 


Q.これからの自分自身に期待することは何ですか?あなたにとってニットとは?

 

A.自分自身に特に期待することはないです。

個展で1人でも多くの方とニットを通してお話ができ、楽しい時間を過ごせたらそれが一番です。

また私は、「好きなことを仕事にする」ことができた恵まれた人生だと思っています。どんなに大変な時でも、家で編んでさえいれば仕事になるという「恵まれた感」をニュースを見るにつけて実感せざるを得ません。

 

これからもニットと手をとり、楽しくやっていけたらと思います。

 

そして!!ニット、もっと知りたいと万が一、思っていただけたら拙本『Waouh!』を是非、御購入の程よろしくお願い申し上げます。



2020年4月27